対談 紙について話そう。-1

新しい青山見本帖のグラフィックデザインを手がけた高田唯さんと、オンスクリーンへと興味の対象を広げている永原康史さん。
「文字」にひときわ思い入れのあるお二人が、紙と文字について語りあいました。
※PAPER'Sをご覧になった方は続きからどうぞ。
高田:文字に詳しいとよく言われるんです。文字を作字して、オリジナルなものを作ることが多いからでしょうか。でも、決してそういうわけではなくて。ただ好きなだけなんですね。学生の頃からよく作ってました。
永原:僕は文字に詳しいですけど、好きではないです(笑)。そういうと変ですが、愛情は他の文字好きの人のほうが深いと思います。うちの実家、書道塾なんです。文字が常に近くにある環境でした。でも、それがきっかけということでもないんです。はじめに興味を持ったのは欧文書体でしたから。
高田:僕も欧文からです。パターンが少ないですし。漢字とかだときりがないですよね。日本語のなかではひらがなが一番好きです。曲線の感じとか、他の国にはなくて、独特できれいだなあって思います。
永原:日本語の文字でいうと、僕か駆け出しの頃は、平野甲賀さんが全盛でしたね。一方で、田中一光さんの光朝体があり、杉浦康平さんも活躍されていました。そんななかで文字で攻めていくのはなかなか無謀な雰囲気がありました。文字をちゃんと使うようになってきたのはコンピューターを使って自分で組版をやるようになってからかな。文字をつくるというより、デザイナーは文字を使うということが本分であろうということに気づいてからです。
高田:僕も杉浦さんに影響を受けた時期がありました。漢字とひらがなの関係性とか。『◯◯の□□』というタイトルがあったとして、「の」がめちゃくちゃ小さいんですよ。なんだこの組み方!?とか驚いて。あの世界の虜になって、古本屋に行っては杉浦さんの本を求め、眺めてはうっとりしてました。ただ、本格的すぎて自分がやるにはとても無理だと思って、僕も離れてしまいました。平野甲賀さんのような、のんびりとした印象の文字を見て、ああいうのはいいな、好みだなと改めて思います。
器としての紙。
永原:昔は、文字は強い黒でカチッとさせることを心がけていたんですよ。特に本文は。そのために紙を選ぶことがあったくらい。僕、紙は器だと思うんです。この紙は何年くらいで焼けてくるのかを考えたりする。近著『デザインの風景』は10年でうっすら焼けがくるようにつくってあります。
高田:え…そんな計算をなさってるんですか。


